金属の声を聴き対話するへらしぼりの世界
大東市灰塚の住宅街の中に山路製作所があります。一見普通の住宅かと見間違いましたが、奥行きのある工場を進むごとに数々の工具、治具が所狭しと設置されていました。
特に目を引いたのが、先端に滑車のようなものがついて、少し「く」の字に曲がった金属棒が何十本も壁に掛けられていました。
「これは何ですか?」と訊ねると、山路社長が「へら絞り用の工具(へら)ですよ。」と教えてくださいました。「ろくろ」を横にした機械に厚さ素材が様々な円板を回転させながらへらを当てながら曲げつつ、円筒や円錐を形作っていきます。溶接した製品との違いは、1つの部材で形にすることができるため、耐久性と安定性に優れていることです。
何気ない回転する円板に絶妙なタイミングでへらを数十秒当て円筒状に姿を変える実演を山路社長に見せていただきました。
一見簡単そうに見えましたが、自分ですることを想像すると「ウーン、無理」と理解しました。
「素材の特性、厚み、機械の回転数をすべて把握して加工しなければならないので、自分のイメージ通りにへら絞りするには10年は経験しなければ難しいでしょう。単純なものや大量生産品は機械で製造しますが、最初の試作は人の経験で作らないとお客様の要望通りの品物はできません。」とのこと。
炊飯器の窯の試作品や水滴受け、車のホイールなど、丸いものであれば材質を問わずは数ミリ、大きなものでは2m近いものまでへら絞りできる技術力と対応力の高さが取引先の信頼と引き合いが来る証だと感じました。
なぜか神社の大きな鈴が飾られていましたが、これも過去に依頼して製作したもののようで、「ビンテージカーのレストアをしている車の整備会社から現在生産されていないホイールの製作依頼などもあります。」と結構特殊な分野からの依頼が舞い込むそうです。
数年前から一緒に仕事をしているという息子さんを遠目に見ながら、「このへら絞り技術を次の世代に伝えていくことも私の役目だと考えています。技術はまだまだ、でもいずれ金属と対話できる職人になってほしい」と厳しいながらどこか優しいまなざしと口調が、これまで培ってきた技術が次代にも誇れるものだと確信しておられるのだと感じました。
会社情報
加工種別 | へら絞り |
企業名 | 山路製作所 |
郵便番号 住所 | 574-0043 大東市灰塚5-7-10 |
加工技術/製品 | |
得意技術 | |
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設立 | |
資本金 | |
従業員 | |
主な機械設備 |
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