『女性社長の視点と現場発想で挑む、軽さと強さのものづくり──池田鉄工所の信念』
大阪市大正区南恩加島に本社を構える株式会社池田鉄工所(以下:池田鉄工所)。建設現場向けの鉄鋼部品やアルミ製品の製造を手がける同社は、小規模ながらも確かな技術力と機動力で、多様なニーズに応えてきた。代表を務めるのは、先代から事業を受け継いだ林幸代社長。町工場が持つ柔軟性と、女性ならではの視点を武器に、新たな製品開発にも積極的に取り組んでいる。
池田鉄工所が大きな転機を迎えたのは、ある仮設足場のリース会社からの相談がきっかけだった。「認定工場でないと製造できない機材がある。しかし、池田さんなら何とかなるのではないか」。そんな信頼の声を受け、林社長はこれまでの“下請け中心”から一歩踏み出し、自社製品の開発に挑戦する道を選んだ。
鉄に代わるアルミ製の親綱支柱。鉄と比べて格段に軽量で、作業現場の負担軽減や安全性の向上につながる。特に高齢化が進む建設業界において、こうした軽量化製品は必要不可欠な存在となりつつある。しかし、軽量な反面、アルミは強度を保つのが難しく、厳しい試験基準をクリアするには高度な設計力が求められる。
「正直、今でも年に一度の強度試験の時期は緊張します」と語る林社長。材料の合金配合を調整し、コストと品質の両立を追求した日々は、まさに職人の技と執念の賜物だった。こうして完成したアルミ支柱は、今では鉄製の代替として多くの現場で採用されている。
もちろん、同社の技術はアルミ製品だけにとどまらない。建築金物や吊り金物、特注の部材など、一品一様のオーダーメイドにも柔軟に対応。溶接、板金、プラズマ切断加工まで社内で一貫対応できる体制を持ち、試作から量産まで幅広く対応できる点が、多くの顧客から信頼を集めている。
現在、池田鉄工所では4名の従業員には外国人社員も活躍している。異文化の中で技術を学ぶ彼らに対し、「せっかく日本に来てくれた彼らには、働きがいのある環境を提供したい。給料を上げて、長く働ける会社にしたい」。林社長のその言葉には、経営者としての責任感と、雇用の未来を見据える真摯な思いが込められている。
また、池田鉄工所は業界や地域との連携にも力を入れている。地元の金属加工業者ネットワークにも積極的に参加し、異業種との交流を通じて自社の魅力を発信。地域イベントや展示会への参加を通じて、「ものをつくる楽しさ」や「職人の技の奥深さ」を伝える活動にも力を注いでいる。
「たとえ小さな町工場でも、社会が求めるものを自分たちの手でカタチにできる」。池田鉄工所の歩みは、その言葉を体現している。軽さと強さを兼ね備えたアルミ支柱のように、しなやかでありながら芯のあるものづくり。林社長のもと、池田鉄工所はこれからも、大正の地から大阪、そして全国へと確かな技術と誇りを届けていく。

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